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【レポート】企業活性化研究会 企業訪問レポート キッコーマン食品株式会社 野田工場

平成29年11月28日実施

企業活性化研究会では、月1回の定例研究会のほか、年に数回、特徴ある経営で成功している企業を訪問しています。今回は、キッコーマングループのキッコーマン食品株式会社 野田工場を訪問いたしました。
キッコーマンは「伝統」と時代を洞察する「革新性」を企業風土とし、消費者本位を基本理念、食文化の国際交流、地球社会にとって存在意義のある企業を経営理念とするグローバル企業です。品質管理(安心安 全)、食育、ブランドの維持、高収益(しょうゆ世界戦略)などに注力されています。

キッコーマンのグローバル戦略

キッコーマンは、江戸時代に野田での醤油造りにはじまり、1917年の野田醤油株式会社の設立を経て、戦前に日系人市場向けに出荷していたしょうゆを1949年にアメリカ人市場開拓のため輸出を再開、1957年にサンフランシスコに販売会社を設立して本格的なマーケティングを開始、レシピの紹介などで普及につとめ、1972年には現地生産を開始、「経営の現地化」を基本方針として、世界に生産拠点を展開しています。
2008年には、“グローバルビジョン2020”を発表、海外しょうゆビジネスモデルや世界でのネットワーク、研究や技術開発力、社会的責任などの企業価値を源泉として、以下の企業の目指す姿を明確にしています。

  • キッコーマンしょうゆをグローバル・スタンダードの調味料にする
  • 食を通じた健康的な生活の実現を支援する企業となる
  • 地球社会にとって存在意義のある企業となる

現在では、連結売上高 4,022億円のうち海外が 2,285億円、営業利益 328億円のうち海外が 238億円、従業員 6,800名のうち海外が 3,500名と、いずれも海外が半数以上をしめるグローバル企業に進化しています。
国際的に存在意義を高める社会貢献活動としては、米国における教育機関への寄付活動、オランダにおける水質改善プロジェクト、シンガポールにおける浄化システムの整備支援、ケニアにおける栄養改善プロジェクトなどがおこなわれています。
また、ミラノ万博でのワークショップイベント開催や東京オリンピックへの協賛など、機会あるごとに食の提案を実施されています。

付加価値とブランド化の追求

醤油に新しい価値を追求した、高品質な生しょうゆの開発やデザイン性の高い密閉ボトルの開発による“いつでも新鮮シリーズ”の発売のほか、キッコーマンブランドとしては醤油、豆乳、本つゆ、ぽんず、うちのごはんなどがあり、マンズワインブランド(葡萄の栽培地と栽培方法にこだわったプレミアム日本ワインの「ソラリス」シリーズなど。「日本ワイン」とは、日本で栽培収穫されたブドウのみを原料として日本で壜詰めされたワインの呼称です)、デルモンテブランド(ケチャップ、飲料など)、マンジョウブランド(料理酒、みりん)があり、それぞれブランドの付加価値の追求に努めておられます。

組織活性化への挑戦

社員一人ひとりが働きがいをもって挑戦的に仕事に臨む活力ある組織を目指して、数々の施策を展開されています。2015年から実施された組織力向上プロジェクトでは、外部コンサルタントを活用、意識調査や社員インタビュー等による現状調査により課題を抽出し、社員の思考や行動特性、マネジメント(経営理念等に対する社員の認識評価)、会社の仕組み(組織人事に対する社員の認識等)および他社との比較などの面から課題を見極め、施策の方向性を検討されました。事業の現場では、業務とコストの現状を可視化して業務上の課題を特定し、課題の仕分けと整理を実施されました。

施策のひとつとして、部門長および所属長は「挑戦」や「消費者本位」をキーワードとした中長期の「組織活性化ビジョン」を策定した上で、それをもとに年度の目標や方針を示します。それに基づき、社員はチャレンジ目標を策定します。このようにして、全社員の挑戦へのモチベーションの高揚をはかられています。また、挑戦を具現化する制度としては、“みんなのアイデアボックス”(提案と意見交換のシステム)や、K-VIP(キッコーマン・ベンチャー・インキュベーション・プログラム)があり、新事業、新商品の創出をサポートしています。
今年度からは、“働きやすい職場の実現”や“限られた時間で成果をあげる生産性向上”を目指して、新しい働き方への挑戦を開始されました。

さいごに

日本の大企業の工場は、高度に自動化され省力化が進んでいます。そのことが、品質の均一化と生産性向上に大きく貢献してきたわけですが、工場での雇用は減っています。AI化によるロボットの高機能化と事務的な作業の自動化、海外現地生産の進展などで、ますますこの傾向が強まると思われます。今後は、地方での雇用を拡大する面からも、現場レベルでの付加価値の高い製品の提案、異分野との融合による新しい事業分野への挑戦、働き方改革の実践等の努力が重要と思われます。
今回の企業訪問では、伝統ある企業の挑戦し続ける姿が非常に参考になりました。企業訪問に際し、ご対応いただいたキッコーマンの関係者の方々に感謝いたします。今後も特徴ある施策を実践している企業や魅力ある経営で成果をあげている企業を訪問し、企業活性化の要因分析を進めます。

( 岡田 正志  B&Tコンサル・オフィス 代表)

【レポート】企業活性化研究会 企業訪問レポート
NECネッツエスアイ株式会社 飯田橋本社

今年2月に出版された「NEW OFFICE」(第29回日経ニューオフィス賞受賞オフィス特集号)の記事“日経ニューオフィス賞受賞企業5年間の変遷”でNECネッツエスアイ株式会社の飯田橋本社が紹介され、また、5月の日経新聞電子版には、「全社員対象にテレワーク」、「働き方改革は自社がショーケース」などの記事が掲載され、7月から本格的に働き方改革に取り組む方針を示されています。そこで、企業活性化研究会の活動の一環として、今年3月の和歌山南紀白浜地区の訪問に引き続き、NECネッツエスアイ本社への企業訪問を企画し、7月5日に実施いたしました。

企業活性化研究会では、2010年の本社飯田橋移転直後にもオフィス見学を実施しましたが、今回はその後、現在までのオフィスや働き方へのアプローチなどの変遷変化のポイントを中心に解説していただくことといたしました。



施策として注目すべきは、会議数と会議時間の削減(電子データの事前送付による資料説明時間の廃止、会議時間の制限設定、会議室の削減等)、支社や他フロアと距離を感じさせないオフィス(臨場感のあるオフィス投影技術“スムーススペース”の活用)、在宅テレワークやサテライトオフィスを活用した効率的かつワーカーの都合にも配慮した働き方の実践、オフィススリム化によるコスト削減と働き方改革による従業員満足度向上の両立化などの実践をへて、バーチャルワークプレイスの実現へと進んでいる点にあります。また、ワークプレイスや働き方改革の試行を通じて、関連ツールやシステムを企画開発して自社の商材化ができるのがメリットでもあります。

参加者のあいだで注目されたのは、プロジェクションマッピングの技術を応用した“スムーススペース(SmoothSpace)”による共有空間の実現です。職場内で支社のフロアがほぼ実物大で常時投影されており、本社と違和感なく通常の会話でコミュニケーションできるのがメリットです。資料や白板記述情報の共有技術と組み合わせることで効率的に情報交換でき、テレビ会議とは全く異なる現実感が得られています。その他にも、ペーパーレス、フリーアドレスの特性とIoTを活用した工夫が随所に見られました。

  

働き方改革では、働き方の多様化に対応して、仕事の見える化、プロセス改革と知の活用の施策を展開し、在宅勤務やテレワークの試行を2年間実施、今年7月から全社員への本格導入に踏み切り、どこでもオフィス(バーチャルワークプレイス)を積極的に実践しようとされています。日本型のマネジメントからは法的制約をクリアする勤怠管理が課題となりますが、パソコンなどの動作データから勤務状況を取得する仕組みで解決されています。今後、法的な整備が進むことで、より生産性の高いフレックスな働き方が実現できることを期待したいと思います。



  

参加者の皆さんからは、

  • 各種の施策が実践レベルに定着しており、かつ進化していること
  • アナログとデジタルが融合されてコミュニケーションの活性化が図られていること
  • 日本型マネジメントでの働き方改革の課題を、いろいろな工夫とシステム化でクリアしようとする努力がみられること
  • 管理から自律へと意識を変えていく必要があること
  • オフィスコストの削減やオフィス効率化と、職場活性化や満足度向上が両立していること

などに関心をもったとの意見が寄せられました。

企業訪問に際し、丁寧にご対応いただいたNECネッツエスアイの関係者の方々に感謝いたします。今後も特徴ある施策を実践している企業や魅力ある経営で成果をあげている企業を訪問し、企業活性化の要因の分析を進める予定です。
                      (岡田 正志  B&Tコンサルオフィス 代表)

【レポート】企業活性化研究会 企業訪問ツアー
<白浜ITビジネスオフィス他>

企業活性化研究会では、特徴ある経営で成功している企業の成功要因等を中心に分析し、日本企業を活性化するための企業のあり方や施策、働き方等について検討してきました。これまで、企業における仕事のやり方に関して調査分析し、理想の働き方(ワークモデル)を提案することを目的として、経営革新や働き方革新に意欲的な企業の訪問、経営者ヒアリング等を随時実施してきました。
近年は、“企業活性化と地域活性化”の原点はイノベーションにあるとの考えのもと、
“イノベーションと地方創生”をテーマに、主として“「日本のどこでも同じような企業活動ができるビジネスプラットフォームとは何か」について議論し、なにが変われば大都市集中の構造が変わるのかを追求するとともに、地方都市で成功している企業、都市に機能を集中していない企業等の調査検討をしてまいりました。
今回は、この研究活動の一環として、南紀白浜地区の白浜町ITビジネスオフィスの株式会社セールスフォース・ドットコム、白浜に新本社を開設したクオリティソフト株式会
社、そして企業誘致を積極的に展開しておられる和歌山県庁を訪問いたしました。

南紀白浜

白浜へは、羽田空港から南紀白浜空港へ70分、また関西国際空港からは約2時間、新大阪からは2時間半の位置にあり、関東からは夜行高速バス(約11時間)もあります。最近は、アドベンチャーワールドが話題になりますが、観光シーズンには海沿いの風光明媚な景色と温泉を楽しみに、多くの観光客が白浜を訪れます。
訪問当日は幸い好天に恵まれ、早朝に到着した参加者は、集合時間まで観光名所を堪能。路線バスのフリーエリアチケットや観光タクシーもありますが、徒歩で行ける範囲の円月島、京都大学白浜水族館、白良浜、千畳敷などを回り、十分満足することができました。
白浜での視察後には、和歌山への移動前のわずかな時間を白浜駅近くの“とれとれ市場”(漁協が運営する西日本最大級の海鮮マーケット)に立ち寄り、閉場間際の半額料理を楽しみました。

株式会社セールスフォース・ドットコム 白浜オフィス

白浜町ITビジネスオフィスは、急坂を登った眺めのよい場所にあります。ここに入居したセールスフォース・ドットコム白浜オフィス長の吉野氏に、オフィスの概要をご説明いただき、これまでに得られた知見や課題等について議論いたしました。
セールスフォース・ドットコムの白浜オフィスでは、地理的な影響を受けない電話等によるインサイドビジネス(内勤営業)を展開しており、生産性(商談数)は東京と比べて
20%向上しているとのことです。常駐者以外にも、希望者が3か月程度白浜で仕事をしてマインドチェンジし、その成果を東京での仕事に反映できます。
セールスフォース・ドットコムは、仕事を可視化するとともに、チームワークを大切にする文化を育成し、また社会貢献活動もグローバルで推進されています。白浜では、小中学生へのプログラミング教育などを実施し、地域との連携を強化しているそうです。
総務省のふるさとテレワーク実証事業のなかでは、成功例として総務大臣が視察するなど、白浜のアプローチが紹介される機会も多くなっています。今後の進化も見守っていきたいと思います。

クオリティソフト株式会社 本社

クオリティソフトは、セキュリティソフトの開発をはじめ、IT環境の安全のプラットフォームを提供する企業です。
近年、イノベーションを起こす異業種交流の場として白浜に事業所を開設、そこを本社として、地域との交流や協業推進で地方創生を目指しています。オフィス内に、異業種の交流の場や宿泊のできるレンタル形態のオフィスを整備することを計画し整備中とのことです。
白浜のオフィスでは、和歌山の無垢の木材をふんだんに使った什器を採用、円形の什器配列やこたつをイメージした場をつくるなど、レイアウトを工夫することで、ストレスの少ない働きやすい環境を目指されています。
ドローンで見せていただいた約5,500坪の広大な敷地と環境をリラックス空間としていかに有効に活用していくかが今後の課題といえるでしょう。

和歌山県庁

翌日には、和歌山県庁を訪問し、和歌山県のまち・ひと・しごと創生総合戦略、企業誘致、産業技術基本計画等についてご説明いただき、地方創生、地域活性化、働き方革新やイノベーションによる企業誘致、産学連携による地域での起業推進、白浜オフィスなどを
含めた今後の施策などについて、企業政策局など関係部門の方と意見交換をいたしました。
和歌山県の最重要課題は、人口減をいかに食い止めるかですが、企業関連の施策として、県内への企業誘致の働きかけの強化や奨励金制度の創設、県内企業が成長力の高い新産業への進出することの支援、異業種間連携の仕組みづくり、創業への支援、工業技術センターや産総研との連携を打ち出されています。企業が和歌山に長期的に根付いてくれる施策をどのように打ち出し、アピールできるかにかかっているといえるでしょう。
和歌山は大阪や関空に近いことが利点でもあり、欠点でもあります。関空から北に向かえば大阪、南に向かうと和歌山になります。南に向かわせるには、和歌山の魅力をどうアピールするかがポイントになると思われます。
なお、白浜町ITビジネスオフィスは満室のため、新しいオフィスを準備中とのこと。

最後に

多くの地方都市が人口減少に直面し、その対策として、まち・ひと・しごと創生総合戦略に沿って各種の施策を打ち出しています。今回の訪問は、企業と地域がともにメリットのある施策とは何かについての議論に参考になるものとなりました。地方の良好な環境をワークライフバランスや働き方改革に活かし、かつ経営面にも貢献できた事例と位置づけることができると思われます。
訪問に際し、和歌山県庁、株式会社セールスフォース・ドットコム、クオリティソフト株式会社の関係者の皆さんに大変お世話になりました。ここに深く御礼申し上げます。

(B&Tコンサルオフィス代表 岡田 正志)