企業活性化研究会(2017年)」カテゴリーアーカイブ

2017年度 企業活性化研究会

【レポート】企業活性化研究会 企業訪問レポート
NECネッツエスアイ株式会社 飯田橋本社

今年2月に出版された「NEW OFFICE」(第29回日経ニューオフィス賞受賞オフィス特集号)の記事“日経ニューオフィス賞受賞企業5年間の変遷”でNECネッツエスアイ株式会社の飯田橋本社が紹介され、また、5月の日経新聞電子版には、「全社員対象にテレワーク」、「働き方改革は自社がショーケース」などの記事が掲載され、7月から本格的に働き方改革に取り組む方針を示されています。そこで、企業活性化研究会の活動の一環として、今年3月の和歌山南紀白浜地区の訪問に引き続き、NECネッツエスアイ本社への企業訪問を企画し、7月5日に実施いたしました。

企業活性化研究会では、2010年の本社飯田橋移転直後にもオフィス見学を実施しましたが、今回はその後、現在までのオフィスや働き方へのアプローチなどの変遷変化のポイントを中心に解説していただくことといたしました。



施策として注目すべきは、会議数と会議時間の削減(電子データの事前送付による資料説明時間の廃止、会議時間の制限設定、会議室の削減等)、支社や他フロアと距離を感じさせないオフィス(臨場感のあるオフィス投影技術“スムーススペース”の活用)、在宅テレワークやサテライトオフィスを活用した効率的かつワーカーの都合にも配慮した働き方の実践、オフィススリム化によるコスト削減と働き方改革による従業員満足度向上の両立化などの実践をへて、バーチャルワークプレイスの実現へと進んでいる点にあります。また、ワークプレイスや働き方改革の試行を通じて、関連ツールやシステムを企画開発して自社の商材化ができるのがメリットでもあります。

参加者のあいだで注目されたのは、プロジェクションマッピングの技術を応用した“スムーススペース(SmoothSpace)”による共有空間の実現です。職場内で支社のフロアがほぼ実物大で常時投影されており、本社と違和感なく通常の会話でコミュニケーションできるのがメリットです。資料や白板記述情報の共有技術と組み合わせることで効率的に情報交換でき、テレビ会議とは全く異なる現実感が得られています。その他にも、ペーパーレス、フリーアドレスの特性とIoTを活用した工夫が随所に見られました。

  

働き方改革では、働き方の多様化に対応して、仕事の見える化、プロセス改革と知の活用の施策を展開し、在宅勤務やテレワークの試行を2年間実施、今年7月から全社員への本格導入に踏み切り、どこでもオフィス(バーチャルワークプレイス)を積極的に実践しようとされています。日本型のマネジメントからは法的制約をクリアする勤怠管理が課題となりますが、パソコンなどの動作データから勤務状況を取得する仕組みで解決されています。今後、法的な整備が進むことで、より生産性の高いフレックスな働き方が実現できることを期待したいと思います。



  

参加者の皆さんからは、

  • 各種の施策が実践レベルに定着しており、かつ進化していること
  • アナログとデジタルが融合されてコミュニケーションの活性化が図られていること
  • 日本型マネジメントでの働き方改革の課題を、いろいろな工夫とシステム化でクリアしようとする努力がみられること
  • 管理から自律へと意識を変えていく必要があること
  • オフィスコストの削減やオフィス効率化と、職場活性化や満足度向上が両立していること

などに関心をもったとの意見が寄せられました。

企業訪問に際し、丁寧にご対応いただいたNECネッツエスアイの関係者の方々に感謝いたします。今後も特徴ある施策を実践している企業や魅力ある経営で成果をあげている企業を訪問し、企業活性化の要因の分析を進める予定です。
                      (岡田 正志  B&Tコンサルオフィス 代表)

【レポート】企業活性化研究会 企業訪問ツアー
<白浜ITビジネスオフィス他>

企業活性化研究会では、特徴ある経営で成功している企業の成功要因等を中心に分析し、日本企業を活性化するための企業のあり方や施策、働き方等について検討してきました。これまで、企業における仕事のやり方に関して調査分析し、理想の働き方(ワークモデル)を提案することを目的として、経営革新や働き方革新に意欲的な企業の訪問、経営者ヒアリング等を随時実施してきました。
近年は、“企業活性化と地域活性化”の原点はイノベーションにあるとの考えのもと、
“イノベーションと地方創生”をテーマに、主として“「日本のどこでも同じような企業活動ができるビジネスプラットフォームとは何か」について議論し、なにが変われば大都市集中の構造が変わるのかを追求するとともに、地方都市で成功している企業、都市に機能を集中していない企業等の調査検討をしてまいりました。
今回は、この研究活動の一環として、南紀白浜地区の白浜町ITビジネスオフィスの株式会社セールスフォース・ドットコム、白浜に新本社を開設したクオリティソフト株式会
社、そして企業誘致を積極的に展開しておられる和歌山県庁を訪問いたしました。

南紀白浜

白浜へは、羽田空港から南紀白浜空港へ70分、また関西国際空港からは約2時間、新大阪からは2時間半の位置にあり、関東からは夜行高速バス(約11時間)もあります。最近は、アドベンチャーワールドが話題になりますが、観光シーズンには海沿いの風光明媚な景色と温泉を楽しみに、多くの観光客が白浜を訪れます。
訪問当日は幸い好天に恵まれ、早朝に到着した参加者は、集合時間まで観光名所を堪能。路線バスのフリーエリアチケットや観光タクシーもありますが、徒歩で行ける範囲の円月島、京都大学白浜水族館、白良浜、千畳敷などを回り、十分満足することができました。
白浜での視察後には、和歌山への移動前のわずかな時間を白浜駅近くの“とれとれ市場”(漁協が運営する西日本最大級の海鮮マーケット)に立ち寄り、閉場間際の半額料理を楽しみました。

株式会社セールスフォース・ドットコム 白浜オフィス

白浜町ITビジネスオフィスは、急坂を登った眺めのよい場所にあります。ここに入居したセールスフォース・ドットコム白浜オフィス長の吉野氏に、オフィスの概要をご説明いただき、これまでに得られた知見や課題等について議論いたしました。
セールスフォース・ドットコムの白浜オフィスでは、地理的な影響を受けない電話等によるインサイドビジネス(内勤営業)を展開しており、生産性(商談数)は東京と比べて
20%向上しているとのことです。常駐者以外にも、希望者が3か月程度白浜で仕事をしてマインドチェンジし、その成果を東京での仕事に反映できます。
セールスフォース・ドットコムは、仕事を可視化するとともに、チームワークを大切にする文化を育成し、また社会貢献活動もグローバルで推進されています。白浜では、小中学生へのプログラミング教育などを実施し、地域との連携を強化しているそうです。
総務省のふるさとテレワーク実証事業のなかでは、成功例として総務大臣が視察するなど、白浜のアプローチが紹介される機会も多くなっています。今後の進化も見守っていきたいと思います。

クオリティソフト株式会社 本社

クオリティソフトは、セキュリティソフトの開発をはじめ、IT環境の安全のプラットフォームを提供する企業です。
近年、イノベーションを起こす異業種交流の場として白浜に事業所を開設、そこを本社として、地域との交流や協業推進で地方創生を目指しています。オフィス内に、異業種の交流の場や宿泊のできるレンタル形態のオフィスを整備することを計画し整備中とのことです。
白浜のオフィスでは、和歌山の無垢の木材をふんだんに使った什器を採用、円形の什器配列やこたつをイメージした場をつくるなど、レイアウトを工夫することで、ストレスの少ない働きやすい環境を目指されています。
ドローンで見せていただいた約5,500坪の広大な敷地と環境をリラックス空間としていかに有効に活用していくかが今後の課題といえるでしょう。

和歌山県庁

翌日には、和歌山県庁を訪問し、和歌山県のまち・ひと・しごと創生総合戦略、企業誘致、産業技術基本計画等についてご説明いただき、地方創生、地域活性化、働き方革新やイノベーションによる企業誘致、産学連携による地域での起業推進、白浜オフィスなどを
含めた今後の施策などについて、企業政策局など関係部門の方と意見交換をいたしました。
和歌山県の最重要課題は、人口減をいかに食い止めるかですが、企業関連の施策として、県内への企業誘致の働きかけの強化や奨励金制度の創設、県内企業が成長力の高い新産業への進出することの支援、異業種間連携の仕組みづくり、創業への支援、工業技術センターや産総研との連携を打ち出されています。企業が和歌山に長期的に根付いてくれる施策をどのように打ち出し、アピールできるかにかかっているといえるでしょう。
和歌山は大阪や関空に近いことが利点でもあり、欠点でもあります。関空から北に向かえば大阪、南に向かうと和歌山になります。南に向かわせるには、和歌山の魅力をどうアピールするかがポイントになると思われます。
なお、白浜町ITビジネスオフィスは満室のため、新しいオフィスを準備中とのこと。

最後に

多くの地方都市が人口減少に直面し、その対策として、まち・ひと・しごと創生総合戦略に沿って各種の施策を打ち出しています。今回の訪問は、企業と地域がともにメリットのある施策とは何かについての議論に参考になるものとなりました。地方の良好な環境をワークライフバランスや働き方改革に活かし、かつ経営面にも貢献できた事例と位置づけることができると思われます。
訪問に際し、和歌山県庁、株式会社セールスフォース・ドットコム、クオリティソフト株式会社の関係者の皆さんに大変お世話になりました。ここに深く御礼申し上げます。

(B&Tコンサルオフィス代表 岡田 正志)

企業活性化研究会(2017年)

特徴ある経営で成功している企業の成功要因等を中心に分析し、日本企業を活性化するための 企業のあり方や施策、働き方等について検討する会― 研究会発足:2008 年 12 月より
「今年度の主テーマは、昨年度に引き続き、“働き方改革による企業と地方の活性化”とします」

特徴ある経営(独自の組織運営や評価制度、雇用制度、自社技術重視、脱下請け等の施策)で成功している企業の成功要因を中心に分析し、日本企業を活性化するための企業のあり方や施策、 働き方等について検討するという趣旨で活動しています。

これまで、企業における仕事のやり方に関して調査分析し、代表的な理想の働き方(ワークモデル)を提案することを目的として、働き方革新や経営革新に意欲的な企業の訪問、経営者ヒアリン グ等を随時実施してきました。また東日本大震災に関連して公開シンポジウムなどを開催し、 平時からリスクに対応した働き方やプロセスを組み込んでいくことが重要であることを事例の紹介から訴えました。また、モチベーション高揚で多くの企業が悩んでいる実態も明らかし、その課題解決に関する施策についてワークショップを開催しました。さらには、企業活性化の尺度を つくることの可能性などについての議論をしてきました。

昨年度から、中心的な議論の観点を“働き方改革による企業と地方の活性化”と設定し、“「日本のどこでも同じような企業活動ができるビジネスプラットフォームとは何か」を議論の主テーマとし、なぜ東京(または大阪)でなければならないか、なにが変われば構造が変わるのかを追求するとともに、地方都市で成功している企業、都市に機能を集中していない企業等の調査検討をし てきました。

近年、“どこでもオフィス”など、どこにいても仕事のできるIT環境は実現されているものの、企業の本社は東京に集中し、仕事は首都圏に偏り、人は東京をめざして集まってくる状況に変わりはありません。地方都市に本社をおく企業も、仕事を首都圏に求めざるを得ないため、多くの人材を首都圏に常駐させているのが実態です。大企業が地方に設立した工場が閉鎖されると、地方自治体は生き残れないような状況になります。農業の産業化も急速には進まず、観光資源にも限界があります。また、東京は人口が増加しているにもかかわらず、出生率は全国最低で、人口減少の要因ともなっています。企業と都市のあり方には大きな問題があると思われます。そこで、全国どこに本社や仕事場があっても同じ生産性で仕事ができるためのプラットフォーム(ビジネスプラットフォーム)を整備し、仕事の仕方の意識を改革することが重要と考え、この実現性を 検討します。

本研究会は、月1回のクローズされたメンバによる研究会ですが、年に数回、企業などへの訪問(見学)を実施しています。企業訪問では、これまで、ユニークな経営、生産性の高い働き方やオフィス改革などにチャレンジしている企業、地方で活躍している企業などを訪問し、経営者インタビューやオフィス見学などを実施してきました。(これまでに、アルプス電気、竹中工務店、サイボウズ、DOWA、シグマクシス、未来工業、鍋屋バイテック、日本オラクル、日本HP、三技協、コクヨ、アクセンチュア、NECネッツエスアイ、東洋アルミニウム、大塚製 薬、・・・などの企業訪問を実施しています。)

研究会のテーマや実施方法については、つねにメンバで話し合いをしております。変化の激しい時代ですので、最新の話題を取り入れながら検討内容も柔軟に変化させています。今後は、特定の企業、大学や自治体とタイアップして、より具体的な議論と実践的な施策の検討をおこなって いきたいと考えています。

■ナビゲータ
岡田正志 B&Tコンサルオフィス・オカダ 代表 <おかだ・まさし>
名古屋大学大学院工学研究科修了。機器制御、ソフトウエア工学などに関する研究開発、通産省(現経産省)のソフトウエア振興プロジェクトなどに従事した後、NECソフト株式会社では、基本ソフトやアプリケーションシステムの開発、生産技術の開発や品質管理のほか、社内業務や情報システムの改革、新オフィスの企画建設整備などにも参画。他に、大学の非常勤講師、各種委員会委員などを歴任。ソフトウエア やシステム開発等に関連する著訳書多数。

■実施スケジュール アーク情報システム(市ヶ谷)にて開催。
定例研究会 月1回 (現時点では第三木曜の15:00-17:00) 企業訪問 年数回
(その他、公開セミナーやワークショップを開催することがあります)

■記事一覧

2017年7月19日更新   【レポート】企業活性化研究会 企業訪問レポート
NECネッツエスアイ株式会社 飯田橋本社

2017年3月30日更新   【レポート】企業活性化研究会 企業訪問ツアー
<白浜ITビジネスオフィス他>

2017年1月1日更新   企業活性化研究会(2017年)