レポート 目からウロコの新ビジネスモデル研究会 研究会2012 研究会/経営サロン

【レポート】第56回 目からウロコの「新ビジネスモデル」研究会(2012/8/28)
『ソーシャルネットワークで解決するアパレル業界の課題』
講師:渡辺 祐樹 氏
カラフル・ボード株式会社 代表取締役CEO

テーマ:ソーシャルネットワークで解決するアパレル業界の課題
講 師:渡辺祐樹 カラフル・ボード株式会社 代表取締役CEO
2012年8月28日(火)16:00~ / 市ヶ谷 アーク情報システム

 

■はじめに

 

カラフル・ボード株式会社の代表をしております渡辺と申します。本日は僭越ながらCOLORFUL BOARDのビジネスモデル,サービス内容について,また今後の展開について考えをお話させていただきたいと思います。

 

「カラフル・ボード株式会社」は2011年11月25日に設立し,2012年3月にサービスインしました。私たちのビジョンは,世界のデザインのあり方を変革することです。一つのプロダクトを作るとき,少ないデザインをもとにマスに展開していくという旧来からの方法を変えて行きたいのです。「ソーシャル・デザイン」と呼んでいますが,ソーシャルメディアを活用して多数のデザインを集め,その中から選択して個々人のニーズにあったデザインを提供していくというものです。旧来のデザイン方法はものづくりの面からすると無駄が多いのです。「ソーシャルデザイン」の方が無駄もなく,エコでもあるのです。

 

2012年7月に「世界の常識を変えるwebサービス100」に選出されました。急成長しているwebサービスという中に入っています。今年5月にはジーンズメイト(東証一部/アパレル小売)と提携し,「ソーシャル・デザイン」によって製品化したTシャツを全国120店舗で販売しました。このプロジェクトが想像以上の成果を生み,ひとつの成功事例とすることが出来ました。

 

COLORFUL BOARDでは,集まったデザインを分析し,そこから選択して販売を行なっています。スコアリング(投票)に参加したユーザーにもポイントを付与し,そのポイントで買い物ができる仕組みを作っています。このサイクルを一つのアワードとして定期的に運営しています。

 

具体的には,COLORFUL BOARDのwebサイトにモデル写真を並べておきます。それを素材として,デザイナーさんが自分のデザインを組合せてデザイン画像を作成します。現在,月間100件くらいのデザインが集まってきています。ひと月かけてデザインを集めて,2週間くらいの間に投票されます。スコアリングは5段階評価で投票できるようになっています。単に数が多いとか,平均点が高いというだけではなくて,さまざまな分析をした上で選んでいます。これまで5回アワードを開催しました。

 

 

■チームのご紹介

 

代表の私は高知県で生まれ,慶応義塾大学の理工学部でシステム工学を選考しました。2005年に株式会社フォーバルに「アントレプレナー制度」第一期生として入社し,営業業務と並行して,大久保会長より直接経営学を学びました。2007年にはIBMビジネスコンサルティングサービスに入社し,戦略コンサルタントとして従事しました。ここでプロジェクトマネージャーを経験できたことがとても役に立っています。2009年には公認会計士の資格を取りました。コンサルティング業務の傍ら,1年間という短期間で合格したため,大手予備校で特別講師をしたり書籍を書く経験もさせて頂きました。2011年にはカラフル・ボード株式会社を設立し代表取締役CEOに就任,2012年には世界最古のファッションスクールであるESMODの非常勤講師にも就任しました。

 

私の他,取締役CTOとしてはヤフーでエンジニアをしていた山野邊大嗣が就任しております。顧問としては,株式会社フォーバル代表取締役会長である大久保秀夫氏,ユニ・チャーム株式会社でCMO(最高マーケティング責任者)を務めた岡部高明氏,アートディレクターの佐藤豊彦氏,弁理士の伊神広行氏という専門家の方々に協力頂いています。その他,社外の協力メンバー14人くらいの方々が手伝ってくれています。

 

 

■ソーシャル分野とアパレル業界の動向

 

日本でもFacebookをはじめとするSNSが特に昨年から伸びています。ただ人口比で見るとまだアメリカの10分の1程度なので,今後さらに伸びる余地が大きいです。現在は,Facebook,Twitter,Google+上で動くソーシャルアプリのレイヤーで,新しいサービスがどんどん出現しています。こうした分野にIPOやM&A等で資金も人材も入ってきています。我々は,このソーシャルアプリのレイヤーで,デザイン関連サービスを展開していることになります。

 

デザインと一口に言っても,多くのプロダクトのデザインが存在します。各プロダクトのデザイン市場規模を評価してみると,アパレルのそれが最も大きく魅力的です。また,Facebookユーザーの興味関心の第一位はファッションであり,口コミが広がりやすいことも分かります。従って,我々はまずアパレルのデザインから着手しているのです。

 

アパレル業界はここ10数年縮小し続けています。2000年に約12兆円だった市場規模が2009年には9兆円にまで縮小しています。

 

アパレル業界の問題は,人が育って,デザイナーが活躍し,魅力的なファッションが販売されるという循環が機能していないことです。人材育成についてみると,過去20年間でアパレル関連の専門学校の入学者数が約6割減少しています。デザイナーの国際競争力も1998年にはヨウジヤマモト,イッセイミヤケ,コムデギャルソンなどが世界のトップクラスに並んでいましたが,現時点では見る影もありません。若手デザイナーの活躍機会も不足しています。彼らには資金が不足しているので小売店とのチャンネルが作れない構造的な問題です。また,アパレル業界の在庫回転率は,製造業の中でワースト3位,小売業・卸ではワースト1位です。消費社動向としては,低価格志向の進行が激しく,流通価格が9年間で32%低下しています。

 

これら諸問題の根本課題として,「売上の予測不可能性」があると考えています。もともと在庫を多く抱えるので高コスト体質でしたが,景気低迷を背景に消費者がそのコストを受け入れなくなった。そこにファスト・ファッションの登場などもあり,流行追随型で付加価値の低いデザインが中心となり,デザイナーが苦しみ,業界全体の人材不足に陥っているのです。

あるアパレル事業の,100種のデザインの利益構造を分析したことがありますが,上位50%が黒字,下位50%が赤字になっていて,せっかくの黒字を赤字が相殺していました。利益率と資本効率を向上するためには,売れるデザインをいかに絞り込めるかがKFSだと思います。

 

 

■COLORFUL BOARDの解決策

 

アパレル業界について,カラフル・ボードでは解決策をどう考えているかお話したいと思います。

 

すでに一部のブランドでは,新商品のデザインをする際にFacebookの「いいね!」が多いものを製造する取り組みを始めていて,メディアからも注目されています。今後このような取り組みが増えてくるのではないかと思います。一方的なデザインの押し付けから,消費者との対話を通じたデザイン創造という傾向になると思います。これを「ソーシャル・デザイン」と呼び,我々はそのプラットフォームを提供していきます。このプラットフォームでは,集まったデータの分析が価値となります。この点に関しては,独自のデザイン評価アルゴリズムを用いたシステムを構築しています。

 

 

■今後の事業展開

 

我々の事業展開シナリオでは,米国の成功事例をベンチマークとして,そのサービスをローカライゼーションすることから始めています。この米国サービスはインターネットでTシャツ販売を行い,約30億円を年間売り上げています。年間の成長率が150%~200%で推移しています。

 

このビジネスモデルを日本に持ってこれるのかについては,詳細に分析を行いました。特に,Tシャツに関して,日米の市場規模,特性がかなり違うのです。日本の若い女性にはTシャツのニーズがあまりありません。また,実際に取り寄せてみたところ,米国サービスのTシャツは品質が悪く,このままでは日本では通用しないだろうと考えました。つまり,アメリカとは成功のメカニズムが違うということです。

 

現在,企業コラボを積極的に進めています。ジーンズメイトさんの事例が成功したので,今後,大手企業とのコラボ企画をさらに進めていきたいと思います。ジーンズメイトさんとの提携では,デザイン集め,選定,販売という面で口コミ効果だけでも36万円相当,実際の販売利益にも大きく貢献しました。現在,サッカーJリーグの「アルビレックス新潟」のサポーター用に,皆で考えたTシャツを着て応援に行こうという企画も進んでいます。

 

また,専門学校・スクールとの提携として,文化服装学院やESMOD japon,新潟デザイン専門学校との相互紹介も行なっています。今後,COLORFUL BOARDのサービスをアピールするため,メディア露出も強化していきたいと考えています。

 

多くのアパレルメーカーの場合,プライシングの考え方がざっくりしていますが,これを各デザインごとに細かなプライシングを戦略的に実施しています。製造面では,新潟にある提携工場を活用することで,コスト面での強みを発揮しています。

 

3月リリース以降,デザイン投稿状況を見ると,ほぼ右肩上がりで伸びてきているといえます。同時にかなりレベルの高いクリエイターも参加してきています。

 

 

■おわりに

 

今のところ,COLORFUL BOARDの事業は順調に成長を遂げています。そこで,事業拡大のための資金調達の検討も進めています。これまでの事業資金は,私が出資した300万円に加え,個人投資家中心に出資いただいた915万円を基礎としています。今後,ベンチャーキャピタルなど金融機関からの調達を検討していきます。

 

今後とも,皆様にご協力をいただけましたら幸いです。

ご清聴ありがとうございました。

 

 

◎カラフルボード

http://www.colorful-board.com/

 

 

<記録・丸山有彦>