レポート 例会

BPIA 例会【2020年度第4回】(2019/8/26)

※受付は終了しました

【レポート】

 こんにちは。BPIA広報委員会の石田です。今回は8月26日(水)にオンラインにて開催された今期最後のBPIA例会についてレポートします。

 今回の例会では「コロナ危機で米中、世界秩序はどう変わるか」と題し、日本経済新聞社・コメンテーターの秋田浩之氏にご講演いただきました。

 コロナ危機によって米中の対立の性質が変わり始めています。コロナ危機の以前の問題は主に「行動」の問題であり、妥協が不可能ではなかった対立でした。米中貿易摩擦の問題も、5Gに代表されるハイテクの覇権争いの問題も、そして地政学的な海洋問題も、すべて米中のどちらかが「後ろに引く」ことで解決しえる問題です。

 しかし、コロナ危機以後、妥協が難しい体制をめぐる対立に様相が変わってきました。「行動」に対して問題があるのではなく「人格」に対して不満をもつ性質に変わってきたのです。それは米国のポンペオ国務長官の発言や、オブライエン大統領補佐官の発言からうかがい知ることができます。

 米国内の現状は事実上戦時中に近い状態といってもいいかもしれません。新型コロナウィルスによる死者の数は17万人。これはベトナム戦争と朝鮮戦争での死者数を倍にした人数と同じです。国内の失業率は20%を超え、少なくとも来年の後半にならないと戻らないと言われています。

 新型コロナウィルスを中国が悪意に撒いたわけでないとしても、その後の対応や隠ぺい工作を加味すると、中国という国が「人格的に信用できない」に米国内でなっています。中国の共産党を性悪説でみてしまう考え方です。

 現在、米国で大統領選がおこなわれていることも対中国の制裁を加速させる要因になっています。トランプ陣営、バイデン陣営ともに対中国に対して強便な姿勢を明らかにしています。

 新型コロナウィルスによって傷を負ったのは米国だけではありません。中国も大きな痛手を負っています。国内では経済が悪化。農村を含めると中国でも約20%の失業率です。日本や米国の場合、政治の判断ミスは政権交代という形にあらわれますが、中国の場合は共産党の一党独裁のため、政治への不満は国体を壊すことになる可能性もあります。

 しかし、不思議なのが、コロナ危機の中でも中国が強気な行動を続けていることです。尖閣諸島の問題、東シナ海での空母演習の問題、南シナ海での問題、香港の統制、インドとの対立、オーストラリアに対する貿易制裁など、狙いのわからない、むしろ反感を買うような行動をとっていることが不明です。

 講演の最後には、「米中対立、コロナ後の秩序は?」「日本にとっての問題」というところもお話いただきました。個人的には「トランプは番長型」「バイデンは学級委員長型」というお話が興味深く、トランプよりもむしろバイデンが大統領に就任する方が中国にとっては嫌なのではないか、というお話に納得しました。

最後になりますが、秋田様、例会担当の田村さん、BPIA事務局の川上さん、誠にありがとうございました。


【開催概要】

日時 2020年8月26日(水)
9:30〜 接続可
9:45〜10:45 ご講演
10:45〜11:00 質疑応答
開催方法 Zoom
※ 参加表明をいただいた方には、後日、開催情報(URL等)をお送りします。
タイトル: コロナ危機で米中、世界秩序はどう変わるか
講師 秋田 浩之(あきた ひろゆき) 氏
日本経済新聞 コメンテーター
対象 BPIA会員限定
進行 田村俊和(BPIA理事 例会担当)
株式会社日経BP読者サービスセンター 代表取締役社長

※「例会」は、BPIA会長、会員経営者、又は外部経営者知見者を講師に招き、グローバル時代の経営を様々な視点で議論し、相互研鑽とビジネス交流を図るBPIA会員限定の勉強会となります。
 

◎講演概要

コロナ危機は世界の経済だけでなく、外交や安全保障にも大きな影響を及ぼしている。
感染が収束しても、コロナ前の世界に戻ることはないだろう。では、具体的に何が、どう変わり、日本にはどのような影響が及ぶのだろうか。
いちばん大きな変数になるのが、米国と中国による対立の行方だ。オバマ前政権の後半から両大国の確執は深まっていた。一見すると、今はその延長線にすぎないようにみえるが、いまの構図はコロナ前とは全く異なる。米中対立の程度が強まっただけでなく、質的に変わってしまったからである。両大国は今後、新冷戦ともいえる状態に陥っていくだろう。
日本への影響は極めて大きい。一部の識者には米中が接近するより、対立したほうが日本にとって望ましいという見方がある。しかし、それは誤りだろう。米中が新冷戦に近づくにつれ、日本はビジネス的にも、外交的にもき、極めて難しい選択を強いられる。
 

◎講師プロフィール

秋田 浩之 (あきた ひろゆき) 氏
日本経済新聞 コメンテーター

1987年日本経済新聞社入社。政治部、北京支局、ワシントン支局などを経て、2009年9月から、外交・安全保障担当の編集委員兼論説委員。16年10~12月、英フィナンシャル・タイムズに出向し、Leader Writing Teamに。17年2月より現職。
外交・安保分野を中心に、論評コラムを担当する。
優れた国際報道に与えられる18年度のボーン・上田記念国際記者賞を受賞。著書に、米中日関係を分析した「乱流 米中日安全保障三国志」(2016年 日本経済新聞出版社)、「暗流 米中日外交三国志」(2008年、同)。87年3月、自由学園最高学部卒。
91年、米ボストン大学大学院修了(国際関係論)。2006~2007年、米ハーバード大学日米関係プログラム研究員。