企業訪問 鍋屋バイテック会社関工園
レポート 企業活性化研究会 企業活性化研究会(2023年) 企業訪問レポート 研究会 2023年度 研究会/講演会

企業訪問レポート 鍋屋バイテック会社関工園

 企業活性化(イノベーション創出)研究会では、月1回の定例研究会のほか、企業訪問、経営者インタビューを実施してきましたが、新型コロナにより、3年間実施を中断しておりました。今回、再開第一弾として、岐阜県関市の鍋屋バイテック会社関工園を訪問し、お話を伺うとともに、オフィスや工場を見学させていただきました。

 1560年(永禄3年)創業、鍋、鐘や燈籠などの製作で、朝廷から「御鋳物師」の免状を授かったことが起点となり、1940年に鍋屋工業株式会社を設立、プーリーなどの製造を手掛けられます。1992年には、完成した関工園(本社)がグッドデザイン施設に選定、日経ニューオフィス推進賞を受賞されています。1995年には、当時の岡本太一代表取締役が科学技術庁長官賞(科学技術振興功績者)を受賞。2001年に鍋屋バイテック株式会社(通称として鍋屋バイテック会社)に社名変更。2005年度には、第1回ものづくり日本大賞デザイン・エクセレント・カンパニー賞などを受賞。以降、日経ニューオフィス賞IT経営実践認定企業おもてなし経営企業選地域未来牽引企業新ダイバーシティ経営企業100選関市女性が働きやすい職場健康経営優良法人2021などに選出されています。

 また、2006年には、本社敷地内に墨象美術家である篠田桃紅の作品を集めた岐阜現代美術館をオープン。コンサートなど文化活動や林床植生の回復などの環境問題への対応にも注力されています。

企業理念と経営方針

 NBKビジョンは、“「伝統技術」「新技術」それぞれで、エンジニアリング力と顧客対応力の革新を続け、グローバル・ニッチ市場で、時代を先駆ける価値を創造する”としています。企業理念(NBKスローガン)は、「課題に挑み、世界を前へ」とし、顧客の様々な課題を、ものづくり(もの創り、もの造り)で解決し続けるとしています。

 そして、10のNBKバリューとして、① 物心両面を充実させ、生きがいと幸せを実現する、 ② 良い商品は、良い環境から生まれる、 ③ どんどん変えよう、すばやく化わろう、 ④ 1560年創業の誇りを胸に、時代を先駆ける、 ⑤ NBKオリジナルをDNAとして価値を創造する、 ⑥ 柔軟な顧客対応力によって、感動と満足を提供する、⑦ 生産物流の一体化に磨きをかけ、多品種×変量×短納期に応える、 ⑧ 世界一の品質と能率のものづくりを、一人一人が達成する、 ⑨ 自働化・デジタル化を推進して、エンジニアリング力を高める、 ⑩ グローバル・ニッチ市場で、新分野を切り拓く自社商品を生み出す を定めています。

事業内容と特徴

 「伝動・制御・位置決め・ハンドリングのための機械要素部品の開発・製造・販売、鋳物ソリューションの提供」(プーリーや特殊ねじなどの機械要素部品、ロボット用や設備用の部品などの企画開発、製造、販売)を主事業として、対象となる業界は、FA機械、半導体、食品、自動車、医療機器などの製造装置となっています。

 具体的には、機械要素部品、プーリー、カップリング、特殊ねじ、直動サポート、高性能グリッパ、別品鋳物などがあります。

 事業の特徴としては、多種多様なニーズに対応でき、生産と物流の一体化により、極少量から多量の注文に短納期で対応できること、9万点にのぼる標準品は即納体制が確立されています。

 顧客の課題解決のヒントとして、課題解決事例集を発行、ネットでの事例紹介も積極的に展開されています。

 課題解決の事例として、たとえば、食品・包装業界向け横ピロー包装機の課題解決では、NBKホームページに以下のような事例が紹介されています。

事業推進の特徴

 人事面では、「マイスター制度」を導入、自己啓発や成長につながる資格であれば、直接業務に関係なくても費用(受験料、教材、研修、交通費など)をサポート。資格取得後は、毎月の給与に資格に応じた手当を支給されます。

 社内には、社員が生き生きと働けるように、フィットネスセンターやプールを設置、緑と芝生に囲まれ、大学のキャンパスの様な工場を目指して、アプローチされてきました。社員食堂には、シャガールの絵を飾るなど、社員への配慮がところどころに感じられます。

 改善活動の実施により、安全な作業環境の確立、最も電力を消費する鋳造工程での電力使用量の削減による毎年のエネルギー使用量の削減などが実現されています。また、脱炭素社会の関連でパレットに岐阜県産木材を使用、設備予防保全のシステム化により機器装置の長寿命化などが図られました。

 工場では、最先端の工作機械を多数導入、未来工場として自動化を推進され、ハイテク産業向け製品を生産されています。ロボットでは、柵の設置を必要としない協働ロボットが生産に寄与しています。

加工出荷を待つプーリー。脱炭素社会、持続可能な社会の実現の一環として、木製パレットは県産材を使用されています。

関連する世界の展示会への積極的出展とインサイドセールスへの展開が図られています。20ヵ国30社以上の海外代理店をもち、顧客は32万社を超えます。

ものづくりワールド2023(東京ビッグサイト)機械要素技術展(M-Tech)では、工場全体のモニタリングで現場の省人化に貢献する「クラウド型遠隔監視システム ezeio(イージー・アイ・オー)」を展示

最後に

 訪問に際し、鍋屋バイテック会社 岡本友二郎代表取締役社長、岩井剛一取締役未来推進本部長には、大変お世話になりました。

 機械要素部品や要素技術への鍋屋バイテックのアプローチは、顧客となる業界にとって必須のものとなっています。もはや世界の産業とくに製造業にとって、鍋屋バイテック会社はなくてはならない存在となっています。こうした観点からも、事業の推進状況について、今後ともフォローしたいと思います。

企業活性化(モチベーション創出)研究会 岡田正志(B&Tコンサル・オフィス)