EPUBマニュアル研究会 研究会 2015年度 研究会/講演会

EPUBマニュアル研究会レポート

1. EPUBマニュアル研究会とは

 2013年1月より続いている「業務マニュアルをEPUBマニュアル化することでマイマニュアルを実現しマニュアルの活性化を図る」研究会で今年は3期目です。

 EPUBマニュアル研究会は、モバイルファースト、クラウドサービスの時代に適応した業務マニュルを実現するため電子書籍(EPUB)の技術を利用してマニュアルをEPUB化し活用する。このための技術の習得と業務への適用を研究する会です。

昨年11月に本研究会編著で発売した「マニュアルEPUB化ハンドブック2015年版」をテキストとして使用します。(書籍はアマゾンより入手可です。 http://goo.gl/i2nno6

EPUB Handbook

EPUBとはElectronic Publicationの略称です。電子書籍を作る際のコンピュータ上の形式の一つです。現在では電子書籍を作る標準形式となっており、次の特長があります。
  リフローと自動目次ページ
  文字の拡大・縮小
  画像や表の拡大表示
  しおりの挿入と自動目次
  メモの挿入と自動目次

詳細は「マニュアルEPUB化ハンドブック2015年版」をご覧下さい。

2. 今年度の活動
2.1. 計画概要

 マニュアルEPUB化ハンドブック2015年版をテキストとして普及のためのセミナーを開催 する
 新たな事例研究を募集しEPUB活用の効果確認と普及を図る
 EPUB化技術の普及とマニュアル運用管理の技術の普及を図る

2.2. スケジュール

 (済)1月20日(火) EPUBマニュアル入門、Wordスタイル編集技術紹介
 (済)2月17日(火) 業務マニュルの文書技術
 (済)3月17日(火) マニュアルのEPUB化実習(CAS-UB使用)
 (済)4月21日(火) マニュアルのコンテンツ管理実習(CUBE使用)、PDFのEPUB化
 (済)5月19日(火) 事例発表(デジタルドキュメント研究会、人事業務)
 (済)6月16日(火) eラーニングの世界標準である、Moodleの概要紹介

EPUB Moodle紹介

 7月21日(火)
 (1) 16:00~17:00
   効率的で効果的なマニュアルEPUB化について
    -EPUBマニュアル研究会まとめ-
  (木村 修三 片貝システム研究所)
 (2) 17:00~17:30
   CAS-UB今後の動向とEPUB化の動向
  (小林 徳滋 アンテナハウス株式会社)
 (3) 17:30~18:00
   CUBE今後の動向と運用管理システムの動向
  (天井 誠一 株式会社 ソフトウェア・パートナー)

場所は株式会社ソフトウェア・パートナー様会議室

2.3. 6月の活動内容

 6月16日(火)16時~18時
 場所:株式会社ソフトウェア・パートナー様会議室
 主題:eラーニングの世界標準である、Moodleの概要紹介
 講師:松崎 剛(株式会社イーラーニング代表取締役)

EPUB Moodle紹介

(1) 株式会社イーラーニングの紹介
URL: http://www.e-learning.co.jp/
2000年創立で今年で15周年
Moodle公式パートナー(日本で3つあるうちの一つ)
ITと教育のプロフェッショナルで活動
自社ブランドイーラーングを提供(Android, LPIC, CCNA など)
Moodleのサーバ構築、サポート、教育、コンテンツ開発を提供

(2) Moodleについて

EPUB Moodle画面の例

 世界200カ国、120の言語で利用されており、世界標準となっている。
生徒と先生が同じ画面を共有し、同等の立場で教育を行う仕組みになっている。
プログラムはオーストラリアで開発され改善されているオープンソフトである。
Moodle は Apache、MySQL および PHPを使用して Linux で開発された。
メジャーバージョンアップは半年ごとに行われる。
全て無償で提供されている。

 学習コース内にフォーラムを作ることができ、生徒間、先生と生徒の意見交換ができる。これを利用してコースの改善提案やその経過を共有できる。(業務マニュアルの改善に適応可能)
スマートフォン対応も可能である。
海外ユーザーの代表例:Amazon、Microsoft、Nike
国内のユーザー代表例:上智大学、三重大学、熊本大学、富士ソフト、横浜市消防局

(3) MoodleでのEPUBマニュアルの利用

 サンプルとして、高橋慈子さんが作成された「DD研運営マニュアル」を使用した。
文章と図が入っているEPUBマニュアルである。
Moodleではコース作成の中でファイルやBookを教材として挿入できる機能がある。
BookとしてEPUBをそのまま挿入できる機能がある。
これを利用して挿入したところ、ほぼそのままの形で挿入された。
内部では、EPUBがHTMLでできているためこの形で表示されている。

Moodleはスマートフォンにも対応しているため画面サイズを小さくしても、それに応じてテキストはリフローされ、図は適正なサイズに縮小される。
マニュアルの内容も必要であればコース内で修正や加筆も可能である。
Eラーニングの特長である購読管理やフォーラムを通じての改善提案も利用できる。
コースにはビデオも簡単に挿入できるので業務手順書で表しづらい動作の手順などはビデオを採用すると更にわかりやすいマニュアルの紹介になる。

EPUBマニュアル(業務マニュアル)の初期教育や閲覧の確認を行うこと。利用者を通じて作成者へ意見を述べるツールとなることなど、多くの親和性と利便性が確認された。

EPUB Moodle紹介

(4) Moodleの導入と利用
 Moodleはオープンソフトなので、ダウンロード先から自由にダウンロードし自前で構築することができる。しかし、その後のバージョンアップへの適応やセキュリティの確保などは手間がかかる。
株式会社イーラーニングのビジネス例として次の紹介があった。

   サーバー構築:15万円
   ホスティング料:月12,000円から
   使用ライセンス料:無料
   コース設計:別途

 利用できるブラウザは、Firefox , Internet Explorer, Safari , Google Chromeなどである。
 (各ブラウザの利用可能バージョンは別途利用時に確認する)
自社で利用する場合、画面イメージなど自社用に改造できる。またテーマというものが有償無償で提供されておりそれを使用することもできる。

2.4. 後書き

 今回の内容はEPUBマニュアル研究会にとって大変役に立つものでした。完成した業務マニュアルを関係者へ普及するための方策はセミナー開催などありますが、Moodleを活用することでITの素人でも簡単に学習コースが開設できることがあります。加えて操作手順など写真やビデオで補うことで更に理解が促進できます。いまや、写真やビデオはスマートフォンで簡単に取れ編集もできるので、これを直接コースに追加できる利点は大きいです。また、フォーラムが設置できるため、関係者同士で連絡が取れ、改善意見などスピーディに連携して提案でき、業務マニュアル作成者もタイムリーに改善提案を受けられます。Moodleは世界標準となっているため開発したコースが後で使えなくなるという心配もないことも利点です。今回は実りの多い研究会となりました。(EPUBマニュアル研究会ナビゲーター 木村 修三)

EPUB Moodle紹介