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【企業訪問レポート】 白浜ITビジネスオフィス、和歌山県庁ほか


企業活性化研究会では、特徴ある経営で成功している企業の成功要因等を中心に分析し、日本企業を活性化するための企業のあり方や施策、働き方等について検討してきました。これまで、企業における仕事のやり方に関して調査分析し、理想の働き方(ワークモデル)を提案することを目的として、経営革新や働き方革新に意欲的な企業の訪問、経営者ヒアリング等を随時実施してきました。


近年は、“企業活性化と地域活性化”の原点はイノベーションにあるとの考えのもと、


“イノベーションと地方創生”をテーマに、主として“「日本のどこでも同じような企業活動ができるビジネスプラットフォームとは何か」について議論し、なにが変われば大都市集中の構造が変わるのかを追求するとともに、地方都市で成功している企業、都市に機能を集中していない企業等の調査検討をしてまいりました。


今回は、この研究活動の一環として、南紀白浜地区の白浜町ITビジネスオフィスの株式会社セールスフォース・ドットコム、白浜に新本社を開設したクオリティソフト株式会社、そして企業誘致を積極的に展開しておられる和歌山県庁を訪問いたしました。


南紀白浜


白浜へは、羽田空港から南紀白浜空港へ70分、また関西国際空港からは約2時間、新大阪からは2時間半の位置にあり、関東からは夜行高速バス(約11時間)もあります。最近は、アドベンチャーワールドが話題になりますが、観光シーズンには海沿いの風光明媚な景色と温泉を楽しみに、多くの観光客が白浜を訪れます。


訪問当日は幸い好天に恵まれ、早朝に到着した参加者は、集合時間まで観光名所を堪能。路線バスのフリーエリアチケットや観光タクシーもありますが、徒歩で行ける範囲の円月島、京都大学白浜水族館、白良浜、千畳敷などを回り、十分満足することができました。


白浜での視察後には、和歌山への移動前のわずかな時間を白浜駅近くの“とれとれ市場”(漁協が運営する西日本最大級の海鮮マーケット)に立ち寄り、閉場間際の半額料理を楽しみました。


 

株式会社セールスフォース・ドットコム 白浜オフィス


白浜町ITビジネスオフィスは、急坂を登った眺めのよい場所にあります。ここに入居したセールスフォース・ドットコム白浜オフィス長の吉野氏に、オフィスの概要をご説明いただき、これまでに得られた知見や課題等について議論いたしました。


セールスフォース・ドットコムの白浜オフィスでは、地理的な影響を受けない電話等によるインサイドビジネス(内勤営業)を展開しており、生産性(商談数)は東京と比べて


20%向上しているとのことです。常駐者以外にも、希望者が3か月程度白浜で仕事をしてマインドチェンジし、その成果を東京での仕事に反映できます。


セールスフォース・ドットコムは、仕事を可視化するとともに、チームワークを大切にする文化を育成し、また社会貢献活動もグローバルで推進されています。白浜では、小中学生へのプログラミング教育などを実施し、地域との連携を強化しているそうです。


総務省のふるさとテレワーク実証事業のなかでは、成功例として総務大臣が視察するなど、白浜のアプローチが紹介される機会も多くなっています。今後の進化も見守っていきたいと思います。


 

クオリティソフト株式会社 本社


クオリティソフトは、セキュリティソフトの開発をはじめ、IT環境の安全のプラットフォームを提供する企業です。


近年、イノベーションを起こす異業種交流の場として白浜に事業所を開設、そこを本社として、地域との交流や協業推進で地方創生を目指しています。オフィス内に、異業種の交流の場や宿泊のできるレンタル形態のオフィスを整備することを計画し整備中とのことです。


白浜のオフィスでは、和歌山の無垢の木材をふんだんに使った什器を採用、円形の什器配列やこたつをイメージした場をつくるなど、レイアウトを工夫することで、ストレスの少ない働きやすい環境を目指されています。


ドローンで見せていただいた約5,500坪の広大な敷地と環境をリラックス空間としていかに有効に活用していくかが今後の課題といえるでしょう。


 

和歌山県庁

翌日には、和歌山県庁を訪問し、和歌山県のまち・ひと・しごと創生総合戦略、企業誘致、産業技術基本計画等についてご説明いただき、地方創生、地域活性化、働き方革新やイノベーションによる企業誘致、産学連携による地域での起業推進、白浜オフィスなどを


含めた今後の施策などについて、企業政策局など関係部門の方と意見交換をいたしました。


和歌山県の最重要課題は、人口減をいかに食い止めるかですが、企業関連の施策として、県内への企業誘致の働きかけの強化や奨励金制度の創設、県内企業が成長力の高い新産業への進出することの支援、異業種間連携の仕組みづくり、創業への支援、工業技術センターや産総研との連携を打ち出されています。企業が和歌山に長期的に根付いてくれる施策をどのように打ち出し、アピールできるかにかかっているといえるでしょう。


和歌山は大阪や関空に近いことが利点でもあり、欠点でもあります。関空から北に向かえば大阪、南に向かうと和歌山になります。南に向かわせるには、和歌山の魅力をどうアピールするかがポイントになると思われます。


なお、白浜町ITビジネスオフィスは満室のため、新しいオフィスを準備中とのこと。



最後に


多くの地方都市が人口減少に直面し、その対策として、まち・ひと・しごと創生総合戦略に沿って各種の施策を打ち出しています。今回の訪問は、企業と地域がともにメリットのある施策とは何かについての議論に参考になるものとなりました。地方の良好な環境をワークライフバランスや働き方改革に活かし、かつ経営面にも貢献できた事例と位置づけることができると思われます。

訪問に際し、和歌山県庁、株式会社セールスフォース・ドットコム、クオリティソフト株式会社の関係者の皆さんに大変お世話になりました。ここに深く御礼申し上げます。


(B&Tコンサルオフィス代表 岡田 正志)



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