レポート 企業活性化研究会 企業活性化研究会(2015年) 研究会 2015年度 研究会/経営サロン

大塚製薬株式会社 企業訪問レポート

企業活性化研究会 2015年7月実施

企業活性化研究会は、特徴ある経営で成功している企業の成功要因等を中心に分析し、日本企業を活性化するための企業のあり方や施策、働き方等について検討するという趣旨で、年度毎にテーマを定めて活動しています。今年度は、“働き方改革による企業と地方の活性化”をテーマとして月1回の研究会を開催するほか、こうしたテーマに関連して成果をあげている企業を訪問して、ヒアリングを実施しています。今回は、徳島に拠点をおいてグローバルに事業展開しておられる大塚製薬の品川オフィスを訪ね、企業として注力しておられるポイントなどを伺いました。

両輪事業で躍進する大塚製薬

大塚製薬株式会社は大塚ホールディングス株式会社の中核企業であり、売上高1兆円超、関連会社を含めた従業員3万人規模で、徳島に研究や開発の拠点をおくヘルスケアカンパニーです。2つのコア事業による両輪グローバル展開で成果をあげておられ、ひとつは、抗精神病薬エビリファイや多剤耐性結核治療薬デルティバなどに代表される医薬関連事業ですが、有力で独創的な医薬品開発には20~30年かかり、開発には多くの苦難が伴う事業でもあります。もうひとつは、ポカリスエットやカロリーメイトなど生活に密着した製品で構成されるニュートラシューティカルズ関連事業であり、初のレトルト食品となったボンカレーの開発物語などはマスコミなどで紹介されることもあります。オロナミンCやオロナインH軟膏など、長寿命商品が多いのも特徴です。こうした両輪事業は事業リスクの軽減にもつながっています。

創業からの理念である創造性と発想の転換を様々な施策で実現

ものまねをしないというベンチャー精神を維持することは難しいことです。創造性を発揮するには、ダイバーシティ(多様な人材の確保)の推進、モチベーションの高揚、そして情報共有の施策が重要と思われます。大塚製薬では、はやくからダイバーシティ推進プロジェクトを立ち上げ、海外を含めて多様な働き方の事例を共有されています。また、女性管理職や女性MRの活躍にも注力され、2014年には、経産省の「ダイバーシティ経営企業100選」を受賞されています。また、革新的な製品を創造するという企業理念を常に発信し続けることも必要であり、「巨大なトマトの木」、「曲がった巨大杉」、「水に浮かぶ石」というモニュメントで理念を具現化されています。こうしたことは、首都圏の賃貸オフィスではスペース的な制限からできないことです。

地元“徳島”を守って、働きやすい環境を構築

徳島県鳴門市には陶板名画を展示した大塚国際美術館があります。大塚グループが創立75周年記念事業として1998年に設立されたもので、西洋名画を陶板で複製し色あせせずに、永久に残そうという試みです。今では、ここを見学する数々のツアーが旅行会社から販売されています。こうした地域貢献とともに、この地で暮らす社員へのサポート施策を充実させ、労働時間短縮、育児支援、育休取得推進、介護支援、セカンドライフ支援など、ワークライフバランス推進に注力されています。

大塚製薬

(オフィスの受付の横に飾られている陶板の前にて)

企業の施策が地方の活性化にも貢献(訪問を終えて)

地方を拠点とする企業の最大の問題は、優秀な人材をいかに確保し、定着してもらうかにあると思われます。地域の発展への貢献、働きやすさや住みやすさの追求、人材育成の充実などに取り組み、その課題をクリアされています。創造性や革新性を企業理念の中核に据える企業にとって、創造性の具現化、モチベーションの維持、多様性の確保などの施策が重要となりますが、これにも積極的に取り組んでおられます。種々の取り組みによって、創業の地を大切に守るという姿勢は、地方創生の課題にも大いに参考になります。
先ごろ、日本創生会議の分科会が東京圏からの高齢者移住の提言を公表していますが、高齢になってから地方に移住してうまくいくケースは少ないと思われます。地方を拠点として活躍する企業を支援し増やすことで、若中高の多くの世代が地方で働ける環境をつくることが重要ではないでしょうか。

(岡田正志 B&Tコンサル・オフィス・オカダ 代表)