21世紀型情報システムを考える-20世紀からの決別ー研究会 研究会 2011年度 研究会/講演会

4. 21世紀型情報システムを考える-20世紀からの決別ー研究会

これからの日本企業に求められるモデル、組織や情報共有のあり方を探る

21世紀型情報システムを考える-20世紀からの決別- 研究会

※研究会発足:2008年1月より

「時代が20世紀から21世紀へと変わった今、企業情報システムも変わる必要がある。では、どんな風に?」--こんな問題意識のもと、2008年5月にスタートした21世紀システム研究会は、ナビゲータの1人である山田氏が提唱する「フレームモデル」と「情報の海」(下図)をバックボーンとして、①情報システムのあり方、②情報システムの使い方に関する議論を深めてきた。研究会は1~2ヵ月に1回の頻度で開催。2008年中は「情報の海」という概念の共有化と、企業情報システムにおいて「情報の海」的なデータベースの必要性を議論した。生データや定量情報、定性情報などを、一貫性およびリアルタイム性を保って蓄積・活用可能にするための、10箇条もまとめた。 2009年に入ってからは、情報システムの使い方に関する議論に移行。その前提条件として、社会条件や企業のあり方、そこで働く個人の行動様式などを幅広く議論してきた。それが21世紀型情報システムの存在意義、あり方に対して影響すると考えたかだ。 こうした議論をへて、本研究会では、21世紀システムを構築するのに必須となる、斬新なシステム方法論や手法の研究を深める方向で研究を進める確信ができつつあると考えている。ただし、この方向は必ずしも当研究会の理論的支柱である「情報の海」と合致するとはいえず、また、たくさんある方法論の勉強会に終始する可能性もある。そうなれば様々なところで行われている研究会と大差なくなってしまう。BPIAに属する”21世紀システム”と名のついた研究会は、何を中核に据えるべきなのか。上記の方向の研究会を続けながらも、新たな視点の模索をする必要がある。その手がかりとして、2011年9月に講演した匠の萩本氏のたどった道のりが重要な示唆を与えているようにみえる。彼は豆蔵においてユースケースによるERPシステム仕様の見える化を地道に行なっていたが、これからの時代にはその前にある業務プロセスの見直しが必要ということで業務プロセス分析設計に目を移した。しかしその業務システムを時代に合わせるためには経営視点を問題にせねばならない、ということで匠を立ち上げて企業への提案活動を実践している。これはこれからの時代に是非必要な視点であると考えている。このため、本研究会では、実際に新たな視点をもって情報システムの構築に挑戦している/してきた人を招いて意見の交換を行い、我々の視点の発展を図ってゆくことを本年度の活動の中に加えてゆきたい。

■ナビゲータ

 田口 潤
株式会社インプレスビジネスメディア 取締役 編集長

 <たぐち・じゅん> 1984年日経マグロウヒル(現日経BP社)入社。日経コンピュ-タ編集部、日経AI(人工知能)ニュ-ズレタ-編集長、日経情報ストラテジ-副編集長、日経コンピュ-タ副編集長を経て、日経ITプロフェッショナル編集長、日経コンピュータ編集長などを歴任。情報技術を生かして、ユ-ザ-企業のビジネスをいかに成功させるか、支援するかという視点から、企業情報システムのあり方や構築方法、IT業界のあるべき姿などを追いかけてきた。2008年3月末、日経BP社を退社。5月からインプレスR&Dに入社し、編集局長に就任。企業情報システム担当者に向けた新メディアの開発に取り組んでいる。2008年9月には、無料IT誌「IT Leaders」を創刊。

 

 山田博英
株式会社ソフタス 顧問

<やまだ・ひろひで> 1965年早稲田大学工学部電気通信学科卒。65年 東芝(当時・東京芝浦電気)入社。71年イリノイ大学コンピュータサイエンス修士過程卒。73年日本CDC入社。1985年グールドエレクトロニックス・ジャパン入社。89年日本サンマイクロシステムズ入社、98年アステック入社。2005年アールワークスに転籍、2008年9月同社を退職。同年10月より現職。山田博英コンセプトメモ(http://www.abccommunity.org/

 

■実施スケジュール

第20回 2011年11月25日(金)15:00-17:00 研究会、17:00-18:00 交流会
「要件開発実践への道」 【案内
荒井 康  株式会社ニッポンダイナミックシステムズ 事業推進 統括
三輪 陽子 株式会社ニッポンダイナミックシステムズ 要求開発コンサルタント

第21回 2012年3月 14日(水)16:00-18:00 研究会
「中堅中小企業(SMB)の価値あるIT化を目指して」
平山 武司 株式会社ニッポンダイナミックシステムズ 代表取締役社長

◎第22回 2012年5月30日(水)16:00-18:00 研究会
「サピエンスクラウドへの期待と課題」
本間峰一 みずほ総合研究所コンサルティング部   上席主任コンサルタント

◎第23回 2012年6月 2012年10月5日(金)15:00~17:00 /アーク情報システム(市ヶ谷)
「プログラミング不要、Sapiensによる具体的な開発方法」
原田奈美 こまくさネットサービス株式会社 取締役

これまでの記録

第0回 基調講演「ビジネスモデルを考えるにあたって」
第1回「情報の海」と、行動を決定づける「フレーム」
第2回「情報の海」に向け、データ一元化は本当に必須か?
第3回 データ一元化に向け、乗り越えるべき壁は何か?
第4回 データ一元化に関する中間まとめと、日本の情報システム再構築への試論
第5回「情報の海」をどう解釈して行動するか、使う側のデシジョンメカニズムのモデルを考える
第6回「フレームモデル」の共通認識を図るワークショップミーティング
第7回「ビジネス環境が変わるのに何故情報システムは変われないのか」  フレームモデルに基づいて議論するワークショップミーティング
第8回「パラダイムシフトの視点からCフレームを分析する」
第9回「パラダイムシフトの視点からCフレームを分析する、続編」
◎第10回 フレームモデル編の10箇条を作る、参加者全員による討議
◎臨時  年金記録管理システム問題の本質を問う
第11回 続)フレームモデル編の10箇条を作る
◎第12回 第3フェーズ「情報の海をどう作るか」 ~企業情報システムの理想と現実
◎特別編 地方自治体のおけるITガバナンスのあるべき姿と、クラウド時代のIT人材育成
第14回 第3フェーズ「情報の海をどう作るか」 ケース紹介(インプレスホールディングス)
~構造変革が激しいメディア産業における基幹システム構築事例

第15回 ケース紹介(インプレスホールディングス続編):業務モデルの概念化と業務プロセスへのマッピング
第16回 ケース紹介:シグマクシス
第17回 ケース紹介:これが21世紀システムだ! ~協和発酵キリンの実例
第18回 国内MDM(マスターデータマネジメント)ビジネス最前線!!
第19回 新たな価値観への経営視点の転換
◎第20回 要求開発実践への道
◎第21回 中堅中小企業(SMB)の価値あるIT化を目指して
◎第22回 サピエンスクラウドへの期待と課題
◎第23回 プログラミング不要、Sapiensによる具体的な開発方法